ベルトコンベアーから流れてくる本の背表紙に、鉛筆でひたすらしるしをつけた。本ばかり集中して見つめていると、そのうち、本が止まって見えて、自分の足元にこそベルトコンベアーが敷かれていて、あたかも自分の方が移動させられているような感覚がした。そのときの私は機械で、少なくともヒトではなかった。
休憩時間、「姉姉」というメールが届いた。この妹に早く会いたいと思った。