2007/02/24

志布志裁判

昨日、私のふるさとの鹿児島県が舞台となった、ある冤罪事件の裁判が行われて、
全員無罪と判決が下されました。
選挙に当選して県議会議員となった男性が、有権者達にお金を配って票の取りまとめをしていたのではないかと疑われていました。
そしてこの男性と、金銭を受け取ったとされる12人の住民達は逮捕されてしまいました。

ところが、この事件の被告たちの自白以外に確かな証拠が存在しなかったのです。
そして、その'自白'とされる証言さえも、警察の執拗な取調べによってなかば無理やり強要されたものだったことが明らかになりました。


私はちょうど1年前のこの時期、鹿児島の実家で、この事件についての特集をニュース番組で見ました。
そのときの内容は、議員さんが金銭を配るために集会を開いたとされた日の夜、
離れた土地で催された同窓会に出席していた彼のアリバイを検証するものでした。
彼が、同窓会を抜け出してまで集会に参加した後、再び同窓会の会場に戻ることが可能なのか。
彼はこの日、最後まで同窓生と談笑していた、という同窓生達の証言もありました。
少なくとも同窓生たちにとって、彼を途中で見かけなくなった、などという「空白の時間帯」はもちろんありませんでした。
このVTRは当時、検証されて間もない頃のものでした。
今週放送されたニュースでも、このVTRが再び使われていました。

田舎の夜道、信号もぽつんぽつんと比較的少ない土地の交通。
集落から同窓会会場までかかった時間は片道37分といいますから、
その距離は、大体20Km~25Kmぐらいでしょう。  
20Kmといっても、都会の道と違い、山を一つ越え二つ越えするので、とても大変です。
外灯や民家の明かりも途中、なかなか現れてくれません。
地理的にも、彼らの地域と私の実家の土地は、同じ大隅半島に位置しているので、
あの周辺の交通状態は想像しやすいです。

自白の強要や人権侵害、ひどく高圧的な取調べが行われた、と被告たちは主張しました。
いまだに、前時代的な、力や権力で意見や主張を封じ込めてしまう取調べが平然とされていたなんて。
被告となってしまった方たちは、皆、中年から高齢の方たちです。
あまりの扱われ方に怯えて、体調を壊しただけでなく、自殺未遂まで追い詰められた方もいたといいます。

ぐらしかぁ。 こんな悲痛な鹿児島弁を、遠く離れたこちらで思い出すとは。
 


果たして、今後、この事件は「狭い地域」で起こった出来事として扱われてしまいますか?
日本の警察、裁判制度のあり方に対して、もう一度原点を見つめ直せる問題提起になってほしいと思います。
「被告側の人権を守る」と表現するのは、短絡的でしょうか。
真実を強要されることで、それがかえって、真実とは違うものになってしまう悲劇が、
もう二度と繰り返されませんように。

2007/02/21

クラスメート

今月の9日から最近まで、マイコプラズマ肺炎にかかっていました。
そんなときでも、食欲だけはいつもと変わらなかったので、
不自由な生活の中でも、食べる楽しみだけは奪われずにすんだ。


久しぶりにパソコンに触れて、しばらく使っていないホットメールを確認してみたら、
私と、昔に卒業したゼミ生達とのやりとりが残っていた。
その中の、ある一人の男の子のことは、他の誰よりも印象に残っている。
彼は、卒業式を迎える前に仏門に入った。


‐ 回想 ‐

私達の学科の卒業生で、彼のような人生を選択する人は珍しくない。
元々この学校自体、宗派の子弟を育てることを目的とした学校だから。
それでも彼は、在学中は、自分が修行しに行くということをみんなには内緒にしてほしい、
と、ゼミの教授にお願いしていたようだ。
彼なりの、私たちへの心使いだったに違いない。
今振り返ると、私は彼の行動を、そう確信できる。
卒業式のとき、彼がそこにいない理由を、私達は教授から説明を受けた。
彼は、みんなとの思い出を作ることを、とても楽しみにしていた。

仏門に入る卒業生達は、卒業式より早い時期にお寺での修行が始まる。
だから、彼らは自分の卒業式に出席できない。
彼は、それを常に自覚していたからこそ、アルバム作りに積極的だった。
私は、その思いに気づくのが遅すぎた。


彼らと同じゼミのクラスだったとき、私はすでに留年していた。
私と同じ歳の同級生達はもう卒業していて、周りは見知らぬ人だらけで、
自分が人と「違う」ことが恥ずかしかった。
私は彼とは反対で、周りと深い付き合いになることを避けていた。
「言わなくてもいいこと」、「できれば言いたくないこと」、「言うことで相手が引いてしまうかもしれないこと」を、あの頃の私はたくさん持っていた。
とにかく、それらは私にとっての弱みになりやすかった。
周囲とは、当たり障りのない会話ができればそれでいい、と思ってた。


自分が他人と違う、と思っていたのは私だけじゃなかったんだ。
彼なら、実家がお寺の人同士、修行しに行く人同士で固まって、ゼミ以外の人に交流を求めることもできたはず。
でも、彼はあえて、私たちの中に飛び込んできてくれた。
そこが、彼と私の違い。
私は久しぶりに、思い出を懐かしんで泣いた。

2007/02/09

「クロニクル」 最近聴いたアニメソングの感想 

・「Chronicle クロニクル」 /中原麻衣&清水愛 
これはCDとDVDの二枚組みのアルバム。
アーティストは中原麻衣さんと清水愛さんのデュオ。
彼女達は声優で、いくつかのアニメ作品でお互いに共演している。
私が見たことある、彼女達の共演アニメ作品は「Dears」「舞HIME」「ストロベリーパニック」の三つかな。
DVDでは、耳あての部分が白くてふわふわしている、ヘッドホンのようなものをつけて歌って踊っている曲が多かった。


私の一番のお目当ては「ストロベリーパニック」のエンディングに使用された「秘密ドールズ」。
その曲のPVでは、ゴシックロリータ系の、黒くてフリルがついてる服装で、
胴の部分が、コルセットでかなりカッチリ締められてる感じ。
白い耳あてをつけて歌ってる曲のPVとは、がらりと雰囲気が違っている。
他の曲は、輸入菓子のジェリービーンズのようにカラフルな衣装やウィッグに背景で、
曲も明るくてかわいらしい感じのものばかりだったけど、
この曲のPVだけは、白と黒のモノトーンを基調とした、とてもシックな雰囲気で、曲調もぐっと大人びた雰囲気でした。

この曲のPVの最後で、二人がキスをしている(?)と話題のシーンがあるけれど、
私がPVだけを見た時は「シロ」だと判断した。
唇から少しずれた場所に口づけてるように見えたから。
でも、別な場所でこのPVのメイキング映像を見ることができたとき、一気に答えが出た。
彼女達は、本当にきちんと唇を合わせている。


私が彼女達に注目をし始めたのは、アニメ「舞HIME」からだったので、
いちファンとしては日も浅い方だけど、
二人とも私と同じ歳ということが分かってから、ますます彼女達を応援したくなった。
今後もお二人の活躍を期待しています!

2007/02/08

カルチャーショック その2 

― 回想 ―

学長や、何人かの私の同級生達は黒い袈裟を、
壇上で校歌を歌って、私達を歓迎してくださった合唱部の先輩達は白いジャケット、
私を含めた多くの新入生は,灰色のスーツを着ていた。
式典が行われた後に配られたのは赤い本。 
この本は、釈尊(仏陀)の生涯を説明している内容だったのは覚えている。
入学してからは、海外から来たお坊さん達と、オレンジ色の袈裟も見たっけ。

春は、うすピンクの桜と紫の藤、夏はショッキングピンクのツツジ。
秋はキンモクセイのオレンジ色。
冬は真っ白く積もった雪道。鹿児島の冬では、あまり見たことがなかったから感動したなぁ。

いろんな色、見てきたなぁ。
びっくりさせられたり慰められたりしたっけ。
私は今、どんな色に染まったんだろう。自分の色だけ、分からないや。