謝るのは顔合わせてからだ。
来週月曜日に会う約束をした。
自分の方が傷ついた、なんて言う前に、きっと誰かをそれ以上に傷つけてる。
それが分かった。
鹿児島に住んでた時代も思い出も、何もかも忘れたいと思ってた時期があった。
足かせがなくなって、私は自由だと思っていた。
鹿児島離れて今まで、生きていけなくはなかったけど、ただ、どうしようもなく寂しかった。
スターバックスコーヒーでも百貨店の化粧品コーナーでも、ザ・ボディショップでも、
桜にちなんだ商品が展開されている。
下宿の近くに植物がないので、こんな形で私は今年の春を知る。
そもそも、桜の花に匂いなんてあっただろうか。
コスメカウンターでは、桜の香りのフレグランスだったりボディクリームだったり、
こぞって並べられているけど、どれも「桜」には遠い気がする。
学校の桜はまだ咲かない。
私はほとんど洗い物しか任されず、私と同じ派遣会社から来たもう一人の人はいろいろ仕事を頼まれて重宝されていた。
あげく、以前、この店に派遣から来たアルバイトとの仕事ぶりを比べられ、
-この前の人は物覚えもよかったのに-
と、言われてしまった。
戦力外通告を受けてしまった…。
普段の私のバイト先の誰かが言ってた言葉が、頭の中をしばらくグルグル回っていた。
-(仕事の)できる人はどこ行っても要領よくできる。
できない人はどこ行っても何させてもダメ-
悔しいけど、そのとおりだと認めざるをえない。
-話は変わって…-
今日のこの派遣バイトの前に、五つ目の掛け持ち先が決まった。
先月終わりにさらにもう一つ、バイトの面接に行ってきて、それの採用の知らせが電話連絡であった。
クリーニング屋、引っ越し屋、本屋、カラオケ、漫画喫茶。
生活のため、お金のため。そして、自分の限界を知るため。
最初、同僚が言っていた言葉を私は疑っていた。
人には向き不向きがあって、
ある所では成果を出しにくい人も、別の場所では本人の相性とぴったり合う仕事に出会えるかもしれない。
適材適所、と思っていた。
おつかれさまもありがとうも、私は言ってもらえなかった。
悔しくて悔しくて、今日という日をしばらく忘れたくない。
彼らの先生から注意されたことがある。
あなた(パルミラ)は、学生が関わっていい範囲を超えてしまっている、と。それは私たち教師の仕事だから、と。
三日前…
相談したいことがある、とその子から連絡が来て、出された紙は、また大事な手続きの紙だった。
今まで、何回かは都合が合わなくて断っていたけど、
明日提出する紙だと聞かされ、明日は先生もいないと聞かされ、
気は進まなかったけど、なるべく本人に考えさせて書かせた。
別れた後昨日まで、三日が経った。
その間はバイトや夜勤や面接に集中し、伝えるのを後回しにした私も悪かったが…。
なんで今更気が進まなかったとか言うんだ、頭おかしい、とまで言われ罵られた。
以前から、相手に対しては力になりたいという気持ちの反面、
どうして自分でやらないのだろう、と、もどかしく思っていた。
次第に相手のことを、漢字が読めないんじゃなく、ただ読まないだけじゃないか、と思うようになった。
他の子達だって、漢字を知らない国から来てる子はいくらでもいるのに、って。
今まで、気が進まないのに応えていた、なんて、はっきり意見を言えなかった私を、
仮面を被っている、と相手は攻撃した。私は何度も気持ちを伝えた。
しまいには、こんな失礼な人見たことない、頭おかしいと言われる結果となった。
留学生だから苦労してる、、寂しい、不公平だ、差別だ…。
私にできることは何もない。
不思議と涙も出ない。